大きな転機だからこそ3
物品や祝儀の多寡とはむろん別問題。
祝儀がほしくて建前に臨む腑抜け職人はいない。
それより何より、上棟式はこれから始まる各種工事の関係者一同の顔合わせの場所にしたい。
大工、左官、経師、かわら職など、工事にかかわる人たちが、より仕事をなめらかに進めるためにも、「よろしくお願いします」と、言葉をかわし合いたい。
仕事が始まると、同じ家の普請にかかわりながら、分担になるために、職人が一堂に会することはめったにないからだ。
お施主さんとの交流もしたい。
棟札もつけなくちゃまずい。
建築年月の記録とともに、お施主さんの名を入れて、その工事の記念にしたい。
棟札は真東にとりつける。
真東は小屋梁の上に立てて、棟木を支える束のことで、これがないと棟がのらない大事な柱だ。
別の名をうだつという。
棟札はソファー ベッドなどを入れた家を災難から守ってもらうために、鬼門位といわれる方角に向けてつけるのが決め。
おろそかにできない。
木の香あらたに建ちすすむ
腕もまともなこの住まい
幾久しゆうに幸あれと
建てにし人の寿ぞ祈る