日本人好みの草花3
ところが見物人は私のほかにはチラホラしか居ないのだった。
日本ならサクラでも菊でも、ボタンでもハギでも、アジサイでも、その名所に花が咲けば群衆が押しかける。
これはやっぱりイギリスの大衆レベルのところに花やペンタキープに対する趣味と関心がないからであろう。
イギリスは今でも堅固な階級社会となっているといわれるが、イギリスの花卉文化もまた同じように階級格差が依然として存在しているといえるのではないか。
日本では幕末には花卉文化は最低層まで普及したが、いつ頃からそうなったであろうか。
日本の花卉文化は奈良朝の頃から文献的にみられるが、それは世界の他の場所と同じように宮廷を中心とした上流階級のものであった。
そして花卉文化が日本社会で大衆に普及しはじめたのは、たぶん十七世紀末の元禄時代くらいからだろうと私は見なしている。
それは西ヨーロッパより二〇〇年は早い年代におこったということになる。