日本人好みの草花1
花卉園芸文化は、王侯、貴族や権力者、富豪の独占物で、ふつうの庶民と無関係の存在であったのである。
昔から上流階級のところでは花や庭木があり、それが観賞され、芸術上とりあげられていたであろう。
では庶民は古くから、それなりにわずかでも花や庭木や野菜 種を育て、楽しんでいただろうか。
それは「否」といえるだろう。
庶民の花文化は、長い花文化の伝統をほこる中国でも、またインド、西アジア、ヨーロッパでも、非常に貧しい状態にあったといってよいと思う。
日本では、比較的古くから庶民のなかに花卉園芸文化が浸透していた。
幕末にプラント・ハンティングに来たフォーチュン(この人については後述する)は、つぎのように述べている。
「馬で郊外の小じんまりした住居の農家や小屋の傍を通り過ぎると、家の前に日本人好みの草花を少しばかり植え込んだ小庭をつくっている。