新しい国へ 5
自分の大事な息子を乗せる自転車が盗品か、置き忘れの中古なのか、男は甲斐性のなさを恥じたのです。
たった一台の自転車が自転車でとどまれない、そんな物語がテレビにも、洗濯機にも冷蔵庫にもあるのです。
"国、企業豊かにして、民貧し"というのが、男の偽らざる実感ではあります。
・・・戦後、日本が世界一級の経済大国になったことは疑いようもありません。
マツシタ、ホンダ、ソニーなどの著名な企業はいうまでもなく・・・
日本の経済を支える大部分の企業が廃嘘の跡から徒手空拳に近い企業家の努力によって、わずか数十年間に世界的な企業となったのです。
これほど人材が自由闊達に生きわずかな期間に世界的な事業を興した時代はないでしょうし、結果としてこれほど、身分や出身、学歴に関係なく人々が活躍した時代も少ないでしょう。
その意味で日本の歴史を見ても、戦後は稀有なほど野心と創意に満ちた時代だったのではないか、と思います。